今回は,2011年末にCreative Technology(以下,Creative)から登場した新世代サウンドカード「PCI Sound Blaster Recon3D」(以下,Recon3D)と,その上位版にして,国内では限定版扱いとなるゲーマー向けモデル「PCIe Sound Blaster Recon3D Fatal1ty Professional」(以下,Recon3D Fatal1ty)を取り上げたい。
PCIe Sound Blaster Recon3D(左),PCIe Sound Blaster Recon3D Fatal1ty Professional(右)
メーカー:,問い合わせ先:クリエイティブメディア 03-3256-5577
PCIe Sound Blaster Recon3D実勢価格:1万2000?1万3000円程度(※2012年1月10日現在),PCIe Sound Blaster Recon3D Fatal1ty Professional直販価格:1万6800円(税込,※2012年1月10日現在)
Recon3D Fatal1ty(上)はカバー付きでLEDの色は赤,cabal rmt,(詳細は後述するが)マイク付き。Recon3D PAはカバー付きでLEDの色は青。マイクと変換ケーブルが付属する Creativeの日本法人であるクリエイティブメディアは,Recon3D Fatal1tyの代わりに,3.5mmミニピン×1?アナログRCA×2変換ケーブルを付属させた「PCIe Sound Blaster Recon3D Professional Audio」(以下,Recon3D PA)を,Recon3Dの上位モデル通常版として据えている。ただ,そもそもの話として,でもお伝えしているように,PCIe Sound Blaster Recon3Dシリーズの基本仕様はモデルを問わず共通だ。
“素”のRecon3DとRecon3D Fatal1tyあるいはRecon3D PAとの違いは,カードに搭載されたカバーの有無,LEDイルミネーションの有無,付属品だけ。そしてRecon3D Fatal1tyとRecon3D PAのハードウェア的な違いも3.5mmミニピン×1?RCA×2変換ケーブルの有無とLEDイルミネーションの色だけなので,今回はRecon3DとRecon3D Fatal1tyをもって,シリーズ全体を語ってみようというわけである。
最大のトピックは新世代サウンドチップSound Core3D
というわけで,いつものように仕様からチェックしていこう。
冒頭で基本仕様は同じだと述べたとおり,Recon3DとRecon3D Fatal1tyのカード長はいずれも実測123mm(※突起部除く)。PCI Express x1接続のカードとなる。
上段がRecon3D,下段がRecon3D Fatal1ty
カバーの有無という外観上の違いがあるため,ぱっと見の印象はずいぶんと異なる2製品だが,I/Oインタフェース部はマイク/ライン入力,ヘッドフォン出力,フロントL/R出力,リアL/R出力,センター/サブウーファ出力の各ミニピン端子と,デジタルサウンド入力と同出力の角形端子×2で,完全に共通だ。
左がRecon3D,右がRecon3D Fatal1tyのI/Oインタフェース。ポイントはヘッドフォン出力とライン出力が別になっていることくらいだ。アナログ7.1ch出力に対応する「」をベースに,2ch分の出力用ミニピン端子を2chヘッドフォン出力用に変更したものと言えるかもしれない
そして,Recon3D Fatal1tyのカバーを外すと,「基本仕様は同じ」というのがよりはっきりしてくる。見事なまでに基板デザインが同じなのだ。違いは,搭載するDSP(Digital Sound Processor,ここではサウンドチップと同義)「Sound Core3D」の名が書かれたカバーの色と,LEDの有無だけである。
Recon3D Fatal1tyのカバーを外したところ(左)と,外した状態でRecon3Dともども並べたところ。いずれの基板にも「SB1350」というシルク印刷が共通して印字されているので,基板デザインどころか基板自体が同じものという理解でよさそう
PCIe Sound Blaster Recon3Dシリーズは,Creativeのドライバソフトウェアを導入しない状態だと,HD Audioデバイスとして認識される 「カバーの色?」と思った読者は鋭いが,Sound Core3Dと書かれたものは純然たるチップカバーであり,言うなれば単なる賑やかし。基板の背面から2か所のネジを外すと,「CA0132-4AN HF」と書かれたチップが出てくるので,これがSound Core3Dの本体ということになりそうだ。
基板上にはもう1つ,「CA0113-4AG HF」と書かれたチップもあり,こちらの正体は不明なのだが,
という状況証拠からすると,HD Audio CODEC関連のスイッチャー,もしくはブリッジ的なチップかもしれない。
カバーの枠の色は青と赤で異なるRecon3DとRecon3D Fatal1tyだが,搭載するチップはCA0132-4AN HFで同じだった HD Audio用のフロント出力端子とCA0113-4AG HF。おそらくHD Audio CODEC+α的なチップだと思われるが,確証はない
主なスペックはでひととおり説明済みだが,ざっと説明しておこう。
アナログ出力仕様は2ch時に最大24bit?96kHz,5.1ch出力時に最大24bit?48kHz。アナログ入力は最大24bit?96kHzだ。チップレベルのS/N比は出力が102dB,入力が101dBとされている。
光デジタルサウンド入出力は16/24bit?44.1/48/96kHz対応で,デジタル出力時はAC-3/DTSパススルーだけでなく,Dolby Digital 5.1chのリアルタイムビットストリームエンコード機能である「Dolby Digital Live」もサポートされる。
対応APIはDirectSound/DirectSound 3D,EAX 1.0?2.0,EAX ADVANCED HD,EAX ADVANCED HD 4.0?5.0。ただし,Sound Blaster X-Fiシリーズと異なり,EAX ADVANCED HD系のハードウェアアクセラレーションは行われない。
ご存じのとおり,EAX ADVANCED HD対応タイトルは過去数年にわたって登場していないので,規格を推進してきたCreativeも役目を終えたと判断したのではなかろうか。
なお,対応OSは32/64bit版Windows 7のみとなる。
なぜRecon3DのスペックはX-Fiより低いのか?ちらつくタブレットデバイスの影
というわけで,でも指摘しているとおり,少なくともRecon3Dのハードウェアスペックは,Sound Blaster X-Fiシリーズと比べて高くない。たとえば「」だとカードレベルの出力S/N比が109dBと公表されているうえに,アナログ出力は7.1chだ。
なぜこういう逆転現象が生じているのか。その答えは,先ほどからちらちらと名前が出てきている新世代DSP,Sound Core3Dにある。
Sound Core3Dにおけるトピックは,クアッドコア仕様を採用し,出力系だけでなく入力系へのDSP処理も可能になっていることと,A/DおよびD/Aコンバータを内蔵することにあるが,クアッドコアというのは実のところ,「まあ,入力用プロセッサは意外とDSPのリソースやメモリを喰うので,1基のDSPで賄おうとしたら4コアくらいは必要だよね」という話であり,それほど驚くには値しない。
だが,筆者の記憶が確かなら,入力系へのDSP処理(≒ハードウェアアクセラレーション)を行えるCreative製チップはこれが初めてであり,その点では重要な存在と位置づけられそうだ。入力におけるDSP処理系の実装は民生機器市場において最近のトレンドになっているので,時代の流れということなのだろう。
もう1つ,D/AおよびA/Dコンバータ内蔵という点だが,これがRecon3DのS/N比,そして出力ch数を下げている要因だと思われる。
内蔵D/Aコンバータは最大6ch出力に対応した102dB仕様,同A/Dは最大4ch入力に対応する101dB仕様なので,外部D/AやA/Dコンバータを搭載するSound Blaster X-Fiシリーズを上回るスペックを実現するのは難しいのだ。
もちろん,Sound Core3Dに外部D/A&A/Dコンバータを接続できればこの問題は解決可能で,光デジタルサウンド入出力が用意されている以上,接続できるはずなのだが,実際にそういう製品が出てくるかどうかは神のみぞ知ることになる。
では,どうしてCreativeは,前世代の製品よりもハードウェアスペックが劣ることを承知で,Recon3Dを市場投入してきたのか。クリエイティブメディアは「最上位モデルとして『』(以下,X-Fi Titanium HD)を継続販売するので,オーディオファンはそちらを選んでほしい」というメッセージを発しているが,ここからは,CreativeがRecon3DをX-Fiファミリーの純然たる後継製品としては位置づけていないこと,そして,Sound Core3DというDSPの載る本命デバイスがPCI Express x1接続のサウンドカードではないことが透けて見える。
あくまでも業界筋の情報なので,100%の確度があると保証するものではないが,それでもあえて述べておくと,次世代Windows「Windows 8」(仮称)のタブレット版は,現在のWindows 7&Vistaで実装されている汎用的なオーディオプロセッサ(≒サウンド処理)実装方式「Microsoft APO」にアクセスできない可能性が高い。よって,これが事実であるとすると,DSP内蔵CODECのような外部デバイスを採用するか,それこそSnapdragonやらOMAPやらTegraやらといったSoCにサウンドDSP機能を統合化しない限り,バーチャルサラウンドやマイク入力時のノイズ低減などといったプロセッサ機能は利用できなくなる。
一方,Androidの場合,Cortex-Aシリーズ上でソフトウェアが走るようにしておけば,動作自体に問題はなくなる。しかし,(詳細は後述するが)Sound Core3Dで実現されるような各種オーディオプロセッサを並列処理させると,あっという間にCPUリソースが枯渇してしまう。したがって,結論はWindows 8と同じく,「外部チップに頼るか,面倒を覚悟でSoCに統合させるか」になってしまうのだ。
Creativeはおそらく,そこにSound Core3DというDSPの市場を見い出している。タブレットデバイスのベンダーは,CODECとして動作するワンチップソリューションたるSound Core3Dを採用すれば,SoCに統合するような面倒な手段をとることなく,また,CPUコアの消費量を気にすることもなく,サウンド関連の豊富な機能をアピールできるようになる,というわけである。というか,「Sound Blasterシリーズの最新モデル」としては中途半端に過ぎるRecon3Dのスペックからは,そういった用途に向けたテクノロジーショウケースとしてしか,筆者には見えない。
PC用マザーボードを例に挙げるまでもなく,ワンチップのCODECが単体のD/AやA/Dコンバータと比べて品伽橇婴毪韦险i者も体験的にご存じだろうが,アナログ2ch出力品伽摔长坤铯盲縓-Fi Titanium HDの次に出てきたのがRecon3Dというあたりからは,どう考えても,ワンチップソリューションの市場つまりサウンドカードではない市場を狙いたいという意図しか汲めないのだ。
「ならなぜアナログ5.1ch出力をサポートしたのか?」という疑問はもっともだが,これは,マザーボードに実装されるRealtek SemiconductorやConexant Systems,Integrated Device Technology(IDT)製CODECの置き換えを狙うためと考えると説明がつく。さっそくASRockが同社のマザーボードに搭載してきているが,今後,CreativeはX-Fi時代よりも積極的に,自作PC市場向けマザーボードやノートPC市場へ打って出るつもりなのだろう。
入出力ともに「THX」ブランドのオーディオプロセッサがてんこ盛り
THX TruStudio Proのロゴ Crystal Voiceのロゴ 全体的な方向性が見えたところで,カードの話に戻りたい。
前段でDSPによる処理の話をしてきたが,Recon3D(というかSound Core3D)では,出力系の「THX TruStudio Pro」と,入力系の「Crystal Voice」をオーディオプロセッサとして採用している。
導入当初,「THX TruStudio」「THX TruStudio PC」とも呼ばれていたTHX TruStudio Proは,X-Fi Titanium HDや,一部の自作PC市場向けマザーボードで採用されている機能なので,説明不要といういう人も多いだろう。最終製品や映画館などの音響&映像品僭u価を専門に行う米THXと,Creativeの米国法人であるCreative Labsの協業によるソフトウェアスイートで,Creative独自の音響補正機能「CMSS-3D」をベースとしたものである。「映画館などでおなじみ,THX監修済みの音響技術を使えますよ!」というわけだ。
一方のCrystal Voiceは,純然たるCreative独自技術となる。
さて,ドライバソフトウェアをインストールして最初に気づくのは,Sound Blaster X-Fiシリーズのひどいユーザーインタフェース(以下,UI)が完全に姿を消していることだろう。「Game」「Audio Creation」「Entertainment」と動作モードが3つに分かれ,機能ごとに操作法の異なるウインドウが次から次へと開き,しかもどの設定とどの設定が連動しているか分からないという,Creativeの悪しき伝統を完璧に踏襲したUIは見る影もなく,非常にすっきりしたものとなっている。
すっきりした外観になっているRecon3DのUI。ここではRecon3Dのものを代表して掲載したのでところどころが青いが,後段で紹介するように,ゲーマー向けモデルではそれが赤くなるあたり,芸が細かい。ちなみにこれはTHX TruStudio Proの設定メニューだが,再生ボタンを押すと,設定内容を反映したサウンドのデモが始まる演出もある
どちらかというと,Creativeの技術を採用したマザーボード製品のサウンド設定ウインドウに近いが,THX TruStudio ProもCrystal Voiceも,スピーカー設定やミキサー,イコライザなど,必要なものがすべて1画面にまとまっている。左ペインから項目を選んで,右ペインで設定するだけというのは,端的に述べて使いやすい。
冷静になってみると,ようやく人並みになっただけという気がしないでもないが,おそらく,Sound Blasterとのつきあいが長ければ長いほど,この革新には感動するのではなかろうか。
CMSS-3Dは“発展的解消”。THX TruStudio Proに統合された ただ,動作モードという概念がなくなったアオリを受けてCMSS-3Dの項目が消えたことには,戸惑いを覚えるゲーマーもいることだろう。
筆者はこれまでも,CMSS-3Dのバーチャルヘッドフォン機能「CMSS-3Dheadphone」を,現在のゲーマー向けバーチャルサラウンド技術としては最も優れたものだと繰り返してきた。一方,X-Fi Titanium HDのEntertainmentモードに用意されたTHX TruStudio Proモードのバーチャルサラウンド機能「Surround」は,今ひとつというか,が,CMSS-3DがTHX TruStudio Proに統合されたことで,どういう傾向を示すかはテストせねばならない。
そのほか,THX TruStudio Proの各機能「Crystalizer」「Bass」「Smart Volume」「Dialog Plus」についてはが詳しいので,できればそちらを参照してほしい。効果のほどは後編でお伝えする。
そして新顔のCrystal Voiceだが,Sound Core3Dにおける大きなウリの1つということもあり,非常に多機能。DSPリソース消費量の多い,いわゆる「リッチプロセッサ」がてんこ盛りだ。
Crystal Voice設定メニュー
機能として用意されているのは「FX」「Smart Volume」「Noise Reduction」「Acoustic Echo Cancellation」「Focus」の5つだが,まずはFXから。これは最近よくある,「マイクに入力した自分の声を変調させるもので,分かりやすいロボット風だけでなく,男声を女声に変更したり,老人の声に変えたりできる。昔よくあった,単なるピッチシフトではなく,フォルマント(≒声伲?涓蓼扦沥螭去单荸`トしていなければ,この完成度は出せないので,デキはかなり高いと言える。
……が,あくまでこれは“飛び道具”だ。使い方はいろいろあると思われるものの,Crystal Voiceのキモではない。
というわけでここからが本命の機能群である。
Smart Volume(スマートボリューム)はいわゆるAGC(Auto Gain Control)で,比較的長い時間(100ms以上,通常200?300ms)をかけてゆっくりと入力音声信号の音量調整を行うものだ。携帯電話では必須の機能で,小声でしゃべっても話し相手にある程度の音量で聞こえるのはAGCのおかげである。
ゲーマーの中にも,声の小さな人はいるはずなので,必須の機能だと思うのだが,ゲーマー向けヘッドセットの場合は,DSP内蔵ヘッドセットの一部がようやっとサポートし始めた程度。なので,Sound Core3Dを搭載するRecon3Dがサウンドカードレベルで対応してきた意義は大きい。
ただ,Smart Volumeで音量が変化するがままに任せておくと,無音時や小声で話すときに室内のノイズ(フロアノイズ)もより聞こえやすくなり,結局,声は聞こえにくくなってしまう。そこで用意されるのがNoise Reduction(ノイズリダクション)だ。
現行世代のノイズ低減アルゴリズム(=DSPを活用したデジタル音声処理プログラム)の場合,通常は周波数帯域を数十バンドに分割し,帯域ごとにノイズ判定を行っていく。
ノイズ判定は「ノイズプロファイル」(ノイズプロフィール)と呼ばれる,一種の設定ファイルに基づいて行われる。ノイズプロファイルは「どのような音声信号をノイズだと判定するか」を決める,いわば判定役だ。そして,ノイズと判定されたバンドは指定された分量だけ減らされる完全に除去されるわけではないという仕組みである,pso2 rmt。
結果,ノイズと判定されたバンドの音声信号は相対的に小さくなるので,ノイズは気にならなくなるというわけだ。
なお,紛らわしいものに,一部のヘッドセット製品が採用する「ノイズキャンセリング機能」があるが,それとノイズリダクションはまったくの別モノだ。ノイズキャンセリングは,2つのマイクを利用して,ノイズ成分を文字どおりキャンセルしていくのに対し,ノイズリダクションは分割したバンドごとに判定を行っていくため,原理的に1マイクでも動作可能。したがって,Recon3Dにどんなアナログヘッドセットを接続しても効果は得られる。ノイズキャンセリングのように不自然になることもない。
お次はAcoustic Echo Cancellation(アコースティックエコー?キャンセレーション)。あまり捻りのない命名だが,携帯電話業界などで「エコキャン」と呼ばれるプロセッサと同じものである。
本来,スピーカーとマイクを同時に使用していると,スピーカーから再生される音をマイクが集音してしまい,結果,同じ音が何度も時間を置いて聞こえる「エコー」が発生したり,それがさらに進むと,「ピーガー」という音の,耳をつんざくようなノイズが発生する「ハウリング」が発生したりしてしまう。携帯電話では音声の送受信を同時に,しかも同一ユニット内のスピーカーとマイクで行うため,エコーやハウリングが発生しやすいこともあって,必須中の必須プロセッサとなっている。
もちろんヘッドセットでも条件は似ているのだが,ヘッドフォン部が密閉式のものだとエコーは発生しづらく,また,オープンエアのものでも,マイクの指向性を高めればある程度対処できるため,ヘッドセットで「エコキャン搭載!」というのを謳い文句にしたものは少ない。その意味で,こうしてRecon3Dの機能として用意されたのはなかなか画期的だ。
Beamformingマイクの例(というか,後述する「Sound Blaster Beamformingマイクロフォン」そのもの)。拡大して見てもらえればと思うが,メッシュ部の左右両端にマイクユニットが1基ずつ用意されている 最後にFocus(フォーカス)だが,説明はなかなか難しい。一言でまとめるなら「Beamforming」プロセッサなのだが,おそらくそれでは説明にならないと思われるからだ。
Beamforming(ビームフォーミング)というのは,「無指向性マイクを複数使用して,1つの単一指向性マイクとして動作させる」技術であり,実のところ,携帯電話業界を中心として,最近,ちょっとしたブームになっている(採用ラッシュまではいかないのものの,注目を集めている段階にある)。
そもそも論として,アナログ接続型ヘッドセットでよく採用される単一指向性マイクの指向性はハードウェアレベルで規定されているため,「もうちょっと集音範囲を狭めたい」「逆に広めたい」というときに融通が利かない。また,ハードウェア的な手間がかかっているため,無指向性マイクと比較してコストが高くつく。とくに,民生機器のように10円レベルでコストを抑えなければいけない場合,単一指向性マイクなど採用できない場合がほとんどだ。
このような場合にBeamformingプロセッサを使うと,コストをそれほどかけることなく,融通の利く集音範囲を設定できるというわけである。
Focus機能を利用できるのは,Recon3Dのマイク入力端子にSound Blaster Beamformingマイクロフォンを接続したときだけだ ただし,落とし穴もある。
多くの他社製品と同じく,Recon3Dにおいても,「Focusを利用できるのは専用マイク利用時のみ」に限定されている。要するに,Recon3D Fatal1tyおよびRecon3D PAに付属し,単体販売も行われる「Sound Blaster Beamformingマイクロフォン」をマイク端子と接続したときにしか動作は保証されないのだ。
穿った見方をすれば,これも,「実装次第でこういう機能が使えますよ」という,タブレット&PCメーカー向けデモの一環といえそうである。
そのほかにも新機能はいくつか存在気になる音伽厢峋帳菞试^
Scout Modeの設定項目 ところでRecon3Dには,THX TruStudio ProとCrystal Voiceのほかに,「Scout Mode」という動作モードも用意されている。
UIに書かれた説明いわく,「この専有技術により,ゲーム内の離れた場所にいる相手プレーヤーやNPCの存在を音で捉えることが可能となり,ゲームの進行等で優位に立つことができます」。有効/無効を切り替えるホットキーも設定できるようになっているので,足音など,特定の帯域をブーストして,聞こえやすくする機能と捉えるのが妥当だろう。
説明だけではどういう技術をベースにしているものか分からないので,本機能の詳細は後編で考察したい。
「ミキサー」に用意された「What U Hear」。音量の調整も行える そのほか,左ペインの「ミキサー」に「What U Hear」が加わり,グローバルミキサーから出力される音すべてをリアルタイムで録音していく機能が利用できるようになった点も,新要素として紹介できそうだ。今後のドライバアップデートで,再生中の音とマイク/ライン入力した音をミックスして録音できる「再生リダイレクト」機能も追加されると予告されているので,これが実装されると,いわゆる実況系動画の作成も便利になりそうである。
なお,左ペインの「シネマチック」はDolby Digital Liveの有効/無効切り替えを行う項目。「高度な機能」は「デジタル出力を使ったステレオミックスの再生」の有効/無効を切り替えるものとされるが,簡単にいえば,デジタル出力するサウンドにもDSPによる処理を行えるようにするものだ。副次的に,デジタルとアナログの同時出力も有効になる。
「シネマチック」(左)と「高度な機能」(右)はそれぞれ単機能のオン/オフを切り替える項目となっている
……以上,Sound Core3Dとプロセッサ類の説明だけでとんでもない文量になってしまったため,前編はここまでとしたい。近日公開予定の後編では,「で,音伽希俊工趣いσ蓡枻舜黏à毪伽匹攻冉Y果をレポートしていく予定だ。
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